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新・今日の絵(その20)
2013年02月26日
さて、今回登場は辻で詩を売って暮らす辻詩人の北村さんです。
以下はそんな北村さんの恋人が今朝起きがけにふと思いついて口ずさんだ歌です。
「56階建て」
56階建てのビル
そこが私の住むところ
56階建てのビルなので
ゴローちゃんって私は呼ぶの
ゴローちゃんって呼んだって
それはでっかくそびえ立ち
あんまり可愛くはないんだけどね
56階建てのビル
そこが私の暮らすところ
56階建てのビルなので
ゴゴゴロ雷よく聞こえるの
ゴロゴロ雷鳴轟いたって
それは分厚いコンクリで
これっぽちも揺れないんだけどね
56階建てのビル
そこがあなたと住むところ
56階で愛し合うから
ゴローちゃんってあなたを呼ぶの
どんな名前で呼んだって
あなたは全く無頓着で
いつも笑顔で答えるんだけどね
ゴロー
ゴロー
ビルのゴローと人間のゴロー
ゴローの中でわたしは暮らし
わたしの中でゴローは暮らす
ゴローゴロー
わたしの外と私の中の
ゴローゴロー
ゴロゴロゴロー
雷鳴よ轟け
わたしに轟け
「なんか変な歌ですよねー?」
「ええ、ぼくもそう思います」
「この歌をうたった北村さんの恋人って普段は何やってる人ですか?」
「うんと...家でゴロゴロしてるかぼくの恋人やってます」
「おお、それはなかなかいい暮らしぶりですね」
「ええ、ぼくもそう思います」
「で、そんな恋人の暮らしを支えるためにあなたは詩を書いて売ってるんですね」
「ええ、まあ大方そうです」
「ふうん...あ、ところで刺繍、すてきですね」
「え、詩集?ぼくはまだ、そんなものは出して...」
「いえいえ、本の詩集ではなくて、あなたの帽子のほら、雷の刺繍...」
「ああ、これですか、これはその恋人ってのが縫ってくれまして...」
「ふんふん、そうですか..でもほんとうにすてきです」
「ええ、ぼくもそう思います」