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マンガ傑作選その50

2013年03月06日

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羊羹を食べて、「ああおいしいなあ」と初めてと思ったのは、大学2年の時だ。
社会学科の調査実習で行った水俣でたまたま食べた一切れがすぅうごぉーくうまかった。
聞けば地元の和菓子屋さんのものだそうで、そこだけでしか売られていないという。

翌日さっそく行ってみた。
行ってみたらそこは古い一軒家で駐車場にアウディ・クワトロがとめてあった。
四輪駆動を乗用車に初めて採用したドイツの車で、当時の車好きあこがれの一台だった。
場違いな取り合わせにびっくらこいた。

この老舗はデパートその他からの販売勧誘をかたくなに断り、自分のとこだけで作り自分のとこだけで売っている。
徳富蘇峰は「虎屋に匹敵する」と賞賛してるけど、ぜーんぜん楽勝でこちらの勝ちだと思う。
羊羹もうまいが最中にいたっては世界一ではないだろうか、うん、うん。

さて、当時は水俣関連の本を読みあさっていた。
その中で強く心に残ったことのひとつに、不知火海の漁師の暮らしぶりがあった。

「魚は天からの授かりものやけん、好き勝手にいくらでもとったりしては申しわけがなか。
一家がかつがつ生活していくのに充分な分だけ獲れたら、それ以上は獲らん。」
「冠婚葬祭など、お金が特別に入り用な時は”すいませんなあ、ちょっと入り用じゃけん”って言うていつもより少し余計に獲らしてもらう」

(うる憶えかつ中途半端な方言で申し訳ないっ...)

この漁師の生活の仕方と和菓子屋さんの生活の仕方が同じなので「ううむ」と頭を垂れた。
これは水俣地方に特有の人の有り様なんだろうか...

和菓子を作る人は、望むならば広く宣伝し駅や空港やデパ地下で売って事業を拡張し、お金をいっぱい稼ぐことができる。

しかしそれはやんない。

やんないけど、きちんと汗水垂らし稼いだお金で上等の車を買い、ビュウウーっと乗り回し、生活を存分に楽しむ。

「わが獲ったぞんぶん(思うぞんぶん)の魚で1日3合の焼酎を毎日のむ。人間栄華はいろいろあるが、漁師の栄華は、こるがほかにはあるめえが…。」
(石牟礼道子「苦海浄土」)

と同じ種類の栄華だ。

あうう、いかんっ、書いてるはなから最中が無性に食いたくなってきてしまった...

azisakakoji

 
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