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デジムナーその7

2013年06月02日

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数年前、事の成り行きで若手イラストレーターを中心としたグループ展に参加することになった。
「旧作を一点だけでも」ということだったんだけど、「なんかいつもと違うことをした方がいいよ」いう声(天の上からか地の底からかわかんないけど)がしたので、デジムナー技法(パソコンで版画風に描くイラスト)で描いた絵はがきを百枚作ることにした。
それを木の枝に糸で吊るして展示するのだ。

百枚くらいあったら、どうにか”たわわに”実ってるような感じになるだろうし、それくらい描いたらまあまあの充足感が得られるのではないかと思った。

で、いつもの仕事の合間に毎日5、6枚、ひと月で百枚描いて、実家の裏山で切らせてもらった木に吊るして展示した。

展示の後、はがきのほとんどは友人知人や絵を買ってくれた人なんかにあげてしまった。
あげちゃっても、ちっとも惜しくなかったからだ。
だって、データはパソコンの中にあるので、必要とあらばまたいつでもプリントアウトできる。

と、思ってたら、そのデータが入ったパソコンの上にコーヒーをこぼしてしまった。
それで、ほかのいろんなデータと同様、その百枚もすっかりなくなってしまった。

ほんとうの版画だったら彫った版木がある。
棟方志功先生がコーヒーやお茶やみそ汁こぼしても、「ありゃりゃあーっ」っといって、頭に巻いた手拭いで拭けばいい。
まあちょっとはすり減ったり、色付きが微妙に変化するかもしれんけど、それはそれで”味”になる。

でも、パソコンデータだったらば”ゼロ”、ぜろ”、”0”、まーったく何も残らない。

それで、けっこう悲しかった。
でも同時に、「いかさまの絵は、やっぱりいかさまの末路を辿るんやねえ」と、ひとり苦笑いをした。

今春、衣替えのついでに押し入れを整理してたら、その時の絵はがきが何枚か出てきた。
幸か不幸か、行き先がなかったやつだ。
それをスキャンして、ちょっぴり手を加えた。

そのひとつが今回のやつです。

azisakakoji

 
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