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マンガ傑作選その96
2013年10月11日
数年前、博多は長浜の有名店でラーメン食べてたら、入って来た初老の男が、のれんをくぐるなり「生!」といってテーブルについた。
その深みのある声に一瞬気をとられた。
けど、「ははん、おっさん、ここには瓶ビールしかないぜ」と心の中でつぶやきながら、また自分のラーメンに集中して食べ続けた。
が、数秒後、はっと気がついた。
つうか、どっからどう見てもこの店の常連であるその男のたたずまいが、否が応でも気付かせた。
”生”とはビールのことではなくて、麺のことなのだ。
「やわ!(柔茹で)」とか「かた!(固茹で)」とかいう注文はラーメン屋にいれば普通よく耳にする。
しかし、「なま!」は初めてだった。
けっこうおったまがった。
間もなく、男は運ばれてきたものを無表情で、ズバズバすすって食べ始めた。
これは、言うなればラーメンの刺身みたいなもんだ。
紅しょうがなんかより、本わさびとかがふさわしい勢いだ。
うまいんかなあ...
彼にはきっとうまいのだろう。