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ゆく夏。言いわけ。絵付きの箱。

2010年08月31日

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ひさしぶりに近況を報告します。一昨年から描き続けていた長いパノラマ状の作品(以下略して”長絵”)は、屋外プールがオープンする6月末の時点で予定していた20枚を描き終え、かねてより吹聴しまくってたように8月の半ばには個展開いて皆さんに見ていただくはずだったんですが、いくつかの理由でとりやめにしました。
(って、そうかしこまっていうことでもないのでしょうが、楽しみにしてらした方もちょびっとはいると想像するので、若干かしこまります)

以下そのいくつかの理由ってやつを力が強いものから順に記します。

その1)
足掛け2年も同じシリーズもの描いてると別れが惜しくなってしまった。ので、あと4枚描き足して24枚にすることにした。
つまり、この長絵描いててすごく楽しいし、発見(学ぶこと)がきわめて多いのでもうしばらく描き進めることにした。
その2)
春に予定外の旧作展をやっちまったため、対外用一年分のエネルギーの大方を使い果たしてしまった。
その結果、夏の個展のための場所探しや告知活動、搬入搬出する力が潰えてしまった。
(絵を”描く”のは疲れないが、絵を”見せる”のは非常に疲れる)
その3)
箱屋さんをすることになったので、とりいそぎ箱の制作をしなくちゃならなくなった。

「あん?」「はこや?」

と、いうことで箱屋さんのことについて書きます。

前回お話ししましたように今春から福岡は東区の箱崎ってとこで暮らしてるんですが、近所に服を作ってる友達が住んでます。
その彼がアトリエ兼ショールームとして使ってる場所が今度半分空くことになったというのを6月初めくらいに耳にして、当初は他人事だとさして気にしなかったんですが、2、3日すると、その場所は好きだったしこれも何かの縁なので、なんかできんかなあ、と思うようになりました。

そいでもって思いついたのが、箱崎で箱(空間)があるんだったら、やっぱり「箱屋さん」をやるのがいいやろう!ということでした。
あこがれのショップオーナー、専門店の店長です。

「おお、そりゃあいかすやん」「しかし、箱はどうするん?」
そう、売るもんないと、店ははじまらんです。どっかで箱を調達してこんといかん。

そんなわけで、その場所を貸してもらうのは9月からということで了承を得、夏は箱の制作に専念することにした。
制作というのは、白木の出来合いの箱(けっこういいやつ)を買い求め、その表面を磨いて下地を塗り、その上に絵を描いて、最後にニスを塗って仕上げるというものです。
が、これがなかなか大変。ヤスリがけやニス塗りなど手間がかかるし、木材なので絵の具が着きにくい。それに何てったってキャンバスと違う立体で、6面もあるので見た目ちっちゃくても絵を描くのにたいそう時間をとられる。

わあ、おろろんおろろん、今夏は長絵(長いパノラマ状の作品)とプールと抹茶ソフト三昧の日々だと思っていたのにぃ、何てこったい、この唐突な試練は...うう。

と、出だしはそう思っていたんですけど、あらまあ、やってみるとこれがまた楽しい。
何が楽しいって、まず身体が楽しい。いつもはイーゼルに置いたキャンバスに向かい真っ直ぐ立って絵筆を動かすのに、箱の絵付けは椅子に座り箱を片手に持ってやや背を曲げながら。やってると、輪島塗りだとか博多人形とか伝統工芸にたずさわってる人って感じで、何気に風格が増したようないい気分になる。加えて、木に描くのは麻布に描くのとはまた異なった感触と画面の表情で味わい深い。描く面が変わる度に絵がねじれたり、一方向からだけでは死角になる部分があるので、それを生かして構図を考えるのが面白い。さらに、うふふ、仕上がった箱をこう、ひとつずつちょこんちょこんと、並べていくのが相当心地いい。気分はすっかり洒落たフランス雑貨屋さんで働くセントジェームスにエプロンの娘だ。

と、そんな感じであの暑い最中、怒濤のごとく描きまくり、今やっとこさ18個完成。
「怒濤のごとくってったって、一ヶ月半もかかってたった18個かよ!」
うっく、すまん。しかしこの季節はあっちいったりこっちいったり、けっこう他にやることあるんでなかなか制作の時間がとれんかったです。
しかし、あと何個かさらに仕上げ30個くらい(希望)にして9月の25日あたりにいよいよオープン!というジェットな作戦だぜ。

箱の大きさは6種類、一番小さいのがi-phoneを3つ重ねたくらいの大きさで、最もおっきいのが中くらいの巨峰の房がひとつ納まるくらいの大きさです。
値段はひとつ8千~2万円くらになる算段です。

店の名前は「鰺坂絵箱店」(なんや、そのままやん!)場所は箱崎3丁目の古いビルの2階。土曜と日曜のみの営業で、ひとまずは、入って手前が先の友人の服「GROU」のショールーム、奥が箱の店という仕切りです。”ひとまず”っていうのは、時と場合によってこの空間をいろんな形で自由に使っていこうと話し合っているからです。

開店の日にわせてオープニングの催しをGROUと共同で開催する予定です。
店の場所や開店時間、その催しのなどの詳細については後日、お知らせいたします。

この店は毎週1、2点新作絵箱を発表しながら、来年の8月まで1年間だけ続けてみようと思っています。
(箱作り、1年は飽きんやろう、たぶん)

azisakakoji

 
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