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マンガ傑作選その26
2012年12月16日
小学生のとき友達と”合体ことわざ作り”ってのをやって遊んだ記憶がある。
たとえば、こんなやつだ。
「棚からぼた餅は餅屋」
思いがけない幸運をつかむには専門家に任せよう
「人間万事塞翁が馬の耳に念仏」
人の幸福は変転して定まりがないと思ってる人に何を云っても無駄である
「言わぬが花より団子」
ためらわず好き勝手言ってしまおう
と、こんなことやってたのはきっと仮面ライダーに出てくる怪人たちの影響だったのではないかと思う。
動物二つを合体させたゲルショッカーのサソリトカゲスだとかネコヤモリ、あるいは動物と金物を合体させたデストロンのハサミジャガーやハンマークラゲ...
毎週毎週、次々にいかしたやつらが登場してきてはガキんちょ共の心をキュルルンときめかせた。
そしてこれら怪人たちの”とりあえずそこらへんにあるもの、いっしょにくっつけちゃった”というような、へんてこだがしかし味わい深いたたずまいが、彼らに熱中する子供らにいわば”合体心”というようなものを育んだのだ。
つまり知らないうち体内に、ものつくりにとってはとっても大切な”ブリコラージュ”(寄せ集めて自分で作る)の精神みたいなもんが養われていたように思う。
レヴィ=ストロース(おお!)読んでもそれが”わかる”だけだが、仮面ライダー見るとそれが”できる”ようになる(うまいへたはあるけどさ)ってのがすばらしいぞ。
ところで、仮面ライダーV3の敵、デストロンの大幹部のひとりにキバ男爵がいる。
その役をやっていたのは、宍戸錠の弟で俳優の郷鍈治だ。
郷はそのキバ男爵に扮した年、1973年に宍戸の紹介でちあきなおみと知り合う。
前年に「喝采」でレコード大賞とってる大スターと、デストロンの怪人。
ふたりは恋に落ち、5年後に結婚する。
1992年、55歳の時、郷は肺がんで死んでしまうのだが、ちあきはその柩にしがみつき「私も一緒に焼いて」と号泣したという。
そしてよく知られているように、その後は芸能界から身を引いて公の場には一切姿を現していない。
キバ男爵って、いったいどれほどいい男だったのだろう...
今回の曲
Serge Gainsbourg「Je suis venue te dire que je m'en vais 」
直訳すると「君に別れを告げに来た」という曲で、終盤ジェーン・バーキンのすすり泣く声が入っている。