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マンガ傑作選その38

2013年01月17日

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小学校の2年か3年の時、我が家にポータブルプレーヤーがやって来た。
何かの懸賞で当たったのか、人からもらったのか、それともちゃんとお金を出して買ったのかおぼえてないんだけど、学校から帰ると居間の隅っこ畳の上に、見たことないへんてこな白いプラスチックの機械が置いてあった。
3日ぐらいそのまま置いてあって、日曜になったら家族そろって町のレコード屋さんにレコードを買いに行った。

そのようなところへ行くのは初めてだったのでいささか緊張した。
最初のことなので、ぼくと妹が1枚、父と母が1枚、買うことになった。

子供らは「アマゾンライダーの主題歌」を買った。
♪大空に聞け~ 俺の名は~ アマゾンライダー ここにあり~♪
ってやつだ。
ここで歌ってもしょうがないんだけど...

そいでもって父と母はチェリッシュの「なのにあなたは京都へ行くの」を買った。
「てんとう虫のサンバ」で人気のあったグループのデビューシングルだ。

2ヶ月くらい、家にはその2枚のレコードしかなかった。
なので、何回も何回も「なのにあなたは京都へ行くの」を聞いた。

歌詞はいたってシンプルなのに、不思議な歌だ...

「なのにあなたは京都へ行くの」

私の髪に 口づけをして
「かわいいやつ」と 私に言った
なのにあなたは 京都へ行くの
京都の町は それほどいいの
この私の 愛よりも

静かによりそい やさしく見つめ
「愛する人」と 私を呼んだ
なのにあなたは 京都へ行くの
京都の町は それほどいいの
この私の 愛よりも

燃える腕で だきしめて
「永遠の愛」を 私に誓った
なのにあなたは 京都へ行くの
京都の町は それほどいいの
この私の 愛よりも
この私の 愛よりも

おそらくは、小2の時分に聞いたのこの歌の刻印がとても濃く深いものであったがためだろう。
それ以来、すっかり「なのにあなたは人間」にこころを強く引かれるようになった。

「なのにあなたはボクシングを続けるの」
「なのにあなたは会社に逆らうの」
「なのにあなたは酒を飲むの」
「なのにあなたは独りなの」
「なのにあなたは...」
なのに、なのに...

経験上、良くも悪くも”なのに度”が強い人ほど、その放つ光も強い。

こころの中に何をおいてでも行かざるをえない「京都」を抱えているような男、そういう男だけが女からほんとうに愛される資格があるのよ、と悦ちゃん(チェリッシュのボーカル)は歌っているみたいだ。


azisakakoji

 
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