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今日の絵、その15

2013年06月18日

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えっと、今回登場は、けっこう酔っぱらかってる志井桜伊寿斗さんです。
口にしてるのはタバコじゃなくて、乾燥トッポギです。
志井桜さんは李氏朝鮮で王族に仕えてる陶工なんですが、最近、後進がうまく育ってくれないので、ああ、この窯もおれの代でおしまいだあーっ、とやけ酒を毎晩かっくらっているのです。

「ああ、それは、いかんなあ、酒におぼれちゃあ...」と皆さんお思いになるかもしれませんが、数年前、となりの国から豊臣秀吉って侍の軍隊がやってきて、志井桜さんの仲間の陶工をたくさん連行して帰っていったので、壊滅的に人材が不足しているのでした。
そんなわけで、酒に走るのも無理なからぬことなんです。

ところで、連行されていった朝鮮人の陶工数十名は薩摩の島津家の元、苗代川に留め置かれたのですが、じきに地元の土を使い焼き物を作り始めます。
今で言う、薩摩焼のはじまりです。

そんな陶工の中に沈家の人々がいました。
幕末には十二代、壽官という焼き物の天才を輩出します。

以降、この窯は沈壽官窯を名乗り、現在もその火は燃え続けているのですが、何年か前、薩摩釦といって白薩摩に絵付けしたボタン(かつて倒幕運動の軍資金を得んがため、海外輸出用に制作されていた)を新たに作りました。

今の十五代がデザインしたものなんだそうですけど、鈴など伝統的な形の物の中、ドクロの形のボタンがあります。
これが、とても味わい深い。
(上の写真です)

最近、消費欲ってもんがちっともないんですけど、これはとても欲しいなあ、と思いました。
だって、真一文字に結んだ口。
小さな土のかたまりの中にいろんなものが詰まっている。(という気がする)
手前勝手ながら、”故郷忘じがたく候”(by司馬遼太郎)度が高いという感じがする。

結局、手が出なかったですけど...


azisakakoji

 
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