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あられ

2013年12月24日

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年の瀬なので、今年初めて会った人の中で一番印象に残ってる人のことについて書いてみよう。
えっと...どんな人がいたっけか...うんと...えっと...
あ、そうだ昨日プール行った帰りに会ったばあちゃんにしよう。
記憶の一番上の方に乗っかってるんで、他のあまたの初対面の人々を押しのけて、ちゃっかりの第一位だ。

昨日は泳ぐ日だった。
なので一日のどこかでプールに行く予定にしてたんだけど、朝から絵を描いてたらちょうど11時くらいに、パレットに出した絵具がみんな固まってきて、新たにチューブからひねり出さねばならぬ状態になった。
これを機に一段落と、泳ぎに行くことにした。
プールがあるジムまでは歩いて5分。
(だからここいら辺りに引っ越して来た)

いつものように3千泳いで、晩ご飯の買い物して、パラパラ霰(あられ)が降る中を家路についた。

ジムと家のちょうど中間くらいのところで、前方から小走り、と、よろけながらを足して二で割ったような足取りで、小さなばあちゃんが近付いてきた。
ゲートルみたいなものを足に巻いてほっかむりをしている。
3人でやるくらいの路地裏の水道管工事、その交通整理に小さな旗もって立ってるようなおばあちゃんだ。

この感じは、ただ行き交うだけではなく、何か話しかけられるな、と思った。
案の定、下克上、矢吹ジョー、ばあちゃんは、目の前まできてちょこんと立ち止まると「今、何時ぐらいですか?」と聞いてきた。
時計も携帯も持ち合わせていなかったので、「すみません、ちょっとわかりません...」と言おうとしたけど、家を出てたのが11時ちょっと過ぎで、それから3千泳いで、買い物して今ここにいるので、おおよそ1時くらいだろうと推測し「だいたい1時くらいだと思います」と返事をした。
ばあちゃんは「ああ、どうも...」とお礼を言って大きな通りの方へ立ち去った。

家に帰って炊飯器についてる時計を見たら1時40分だった。
なんでかそいつは30分進んでるので、今は1時10分というわけだ。
おお、さっきばあちゃんに告げた時間はけっこう正しかったのだと安心した。

最近は道を歩いててもめったに人に話しかけられない。
みな時計か携帯持ってるので時間を聞くことはないし、スマホ持ってるので道を尋ねる必要もない、タバコ吸わないので火を貸してもらうこともない。

そんな風なので、たまに知らない人から話しかけられると、なんだかうれしい。
それが、霰降る寒い空の下を働いているような人であれば、なおさらうれしい。

azisakakoji

 
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