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トートバック(その1)

2012年02月25日

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二年前、ひょんなことから福岡東区は箱崎の九州大学正門近くで、絵付けした小箱を売る店をやることになった。
それでせっかくなので、かっちょいい店名入りのシンボルマークを作ろうと思った。

頭をひねってると、絵柄と店名はすんなりと流れ出てきたんだけど、店名を書き表すいかした字体がうまいこと見つからない。
それで、自分で作ることにした。

なんてったって、手描きによる絵付けがなされた箱だ、民芸調のどしっとした感じのやつがいいよなあ、と思い、鉛筆動かしていろいろやってみた。

やってはみるんだけど、小学校のとき親の気まぐれでちょっとの間通わされてた習字教室は三級止まり、小4の七夕揮毫大会前にやめてしまっている。(つうか、”きごう”って”揮毫”と書くと今知った...)
アルファベットやカタカナならいざ知らず、漢字ってなるとなかなかうまいこといかない。

ううむ、弱ったなあ...
途方に暮れてると、傍らの本棚の中の一冊がピカーンと光った。
手に取るとそれは、白川静「文字遊心」であった。

そのなかの「狂字論」に、中国は清の時代の書家、金農(別号、冬心の名を以て知られる)のことが記されている。

「〜はじめて金農の書に接した人は、おそらく絶句するであろう。『字形の悄々長手な所に如何にものんびりして超脱的な気分』があり、『何処か間の抜けたような原始的な手法が全体を支配している』(金冬心之芸術)と青木迷陽博士が評されたように、眺めてるうちに思わず笑い出してしまうような狂気が、このうちにはある。」

おお!
でもって、その文章の傍らにわずかばかり添えられている金農の手による書、こーれがすごい!
一個々々の字がまるで鼓腹撃壌、腹鼓(はらづつみ)ぽんぽこ打ち鳴らし、大地をどんどこ踏み鳴らし、朗々と歌ってるじいさんの姿みたいだ。
よおし、これを、なんとかまねっこしてみよう。

と、そうやってちょとばかし苦労してできたのが”鰺坂絵箱店”の文字です。

そしてその文字が入ったシンボルマークを、鉄紺色でばばんとプリントしたオリジナルトートバックがついに完成!
しっかり厚手、生成りの生地で、使っていくうち、味が出まくりントイーストウッド!
アルカトラズからの脱出にも耐えうる頑丈さ!
日帰りセンチメンタル・アドベンチャーにうってつけの手頃なサイズ!

現在、絵箱展開催中の「亞廊」でひっそり販売中!。

azisakakoji

 
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