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今回の絵(その46)
2012年06月30日
スペインはバルセロナにある国内最大のスタジアム「カンプ・ノウ」。
そこで行われた世界フェザー級タイトルマッチで挑戦者のハヤブサ五郎は王者マルコ・ダ・ガーロにわずか1R1分6秒、KO負けを喫してしまう。
試合後、五郎は日本には帰国せずそのままスペインに残り、もっともっと実力をつけるべく特訓を重ねることにする。
言葉の通じぬ異国の地で、身体をとことん鍛えることにだけに専念しようと思ったからだ。
彼が練習の地に選んだのはスペインはスペインでもイベリア半島のはるか南、アフリカ大陸の北西部に浮かぶスペイン領の群島、カナリア諸島。
五郎は周囲の反対をよそにそこに独り移り住むと、泣く子も黙って息を飲むようなような厳しい特訓を開始した。
それから数ヶ月...
ある朝いつものように、森の中を走っているとその途中、五郎は人間のことばを話すカナリアに出会う。
もともとは人間の女で、名はピヨッピー。
その語るところによれば、古代よりこの地に住まうグアンチェ族、その長老の一人娘として生を授かった彼女はしかるべき歳に達すると、巫女として一族のまつりごとを司っていた。
平和でのどかな暮らしが静かに続いていく。
ところが15世紀末、イベリア半島より突然カスティーリア王国が侵略にやってくる。
一族は根絶やし。
幸い一命をとりとめたピヨッピーも、王国直属の祈祷師に呪いをかけられ、カナリアの姿にさせられてしまう...
この呪いを解くにはカスティーリア王国で最も強い勇者を、東の果ての黄金の島の勇者が打ち負かさねばならない。
つまりそれは、スペイン人である現チャンピョン、無敗の帝王マルコ・ダ・ガーロに日本人であるハヤブサ五郎が勝利することを意味する。
帝王の強さは尋常ではない。
数ヶ月かそこらの特訓で歯の立つ相手ではないことは、己が拳が相手にかすりもしないまま一方的に攻め立てられ、わずか数発のパンチで打ちのめされた五郎は骨身に沁みてわかっている。
どうする五郎!
しかもかけられた呪いはあと一ヶ月で完結し、それ以降ピヨッピーが元の人間の姿にもどる道は閉ざされてしまう。
わが身のふがいなさに、地べたに這いつくばる五郎...
しかし、それもつかの間...
五郎はすっくと立ち上がると、今から死ぬ気で猛練習し、なにがなんでもマルコに勝つことを誓う。
それを見て「この人こそは」と直感したピヨッピー、自身の小さな身のうちに数百年かけて育んだ神霊の力をすべて五郎に伝授する。
ピカーン!
ここに、ボクシング界は言うに及ばず、世界を震撼させることになる一撃必殺の左アッパーが誕生する。
その名もカナリアッパー!!!
ってそのままやん...