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石花のピリカ

2014年06月28日

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「くの一エレジー」
作詞・ピリカ
作曲・未定

ドンドコドンドコ ピーヒャララ
ふもとの村に 祭り囃子が聞こえる

娘たちは 浴衣にうちわ
きれいなかんざしで 髪飾り
手あげ 足あげ 舞を舞う

今日は 祭りの日
楽しい 祭りの日

でも あたしは くの一
ひとり 忍んで 人を斬る


シュルルルシュルル カキーンバキーン
山の奥に 刃鳴りが聞こえる

私は 刀に手裏剣
丈夫な革ひもで 髪束ね
手あげ 足あげ 剣を振る

今日も 修行の日
厳しい 修行の日

そう あたしは くの一
ひとり 忍んで 人を斬る

投稿者 azisaka : 06:42

マンガ傑作選その127

2014年06月25日

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投稿者 azisaka : 13:25

塩さば定食とキャラメルマキアート

2014年06月21日

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おもむろに彼女は話し始めたんだ。

あなたはよそ者なんでよく知らないでしょうけど、ここら辺はコロヒョンスキー公爵の土地よ。
今世紀のはじめにロシアからやってきた貴族で、とってもお金持ち。

今日は彼の一番末の娘ラーメルの結婚を祝う宴が催されたのよ。
それは盛大なパーティで、この国の有名人、各界のお偉いさんたちがいっぱい顔を並べてたわ。

で、ね、わたしは、そこで歌わされたの...

ええ、この国じゃあ、あたしこれでも、ロックスターなのよね。
ヒット曲もたくさんあるし、いろんな賞ももらってる...

「そんなあたしがこんなとこで何やってるのかって?」
ええ、まあ、聞いてよね、実を言うとさ...
今日突然、歌がうたえなくなっちゃったの。
こんなこと生まれて初めてなんだけど...

見ての通り、声がでなくなったってわけじゃないのよ。
それに、金持ちの脂ぎった連中を前にして歌ったから、そんなのに嫌気がさした、っていうのでもないわ。
あたしどんな人が観客であろうと気にしない...

理由はあたしもぜんぜんわかんないの、とにかくいきなりそうなったの...

コロヒョンスキー公爵の広い庭園には、りっぱなステージが組まれてたわ。
そこに上がって歌ったのよ。
あたしの目の前には、晴天の下、ドルネオス山がくっきりと見えた。
ほら、すごく天気が良かったじゃない?
青空の真ん中を鋭いナイフで深く抉ったみたいに、くっきり...
まるで山の形をした真っ黒な穴があいたみたい...

あたしの歌は、歌うはなから、全部その穴に吸い込まれていってしまったの...
聞いてる人の頭の上を通り越して、ひゅうううって、その真っ黒い闇の中へ...

全部の曲を歌い終えた時には、あたしの中から歌がすっかりなくなってしまっちゃったわ。

アンコールに答えようとしても、それっきり、歌がもうぜんぜん出て来ないの...

それで、あたしはステージを下りるなり、そばに繋いであった馬を駆ってドルネオス山を目指したわ。
消えちゃった歌を探しに...
裾野から中腹へ、そしてあてどもなく山の奥へ奥へ...
日が暮れ霧がたちこめて、視界がおぼつかなくなってきちゃったけど、不思議と平気だったわ。
ちっとも不安になんてなんないの...
ひんやり湿った空気が心地よくて、あたしは少しまどろんで...

気がついたらこの湖畔に辿り着いていた...
いつのまにか頭の上には大きな月が出ていたわ。
水面の上を月の光が踊って、チラチラチラチラ、それはきれいだった。

で、ね、なんとその光が見る見るうちに音に、そして歌になっていったのよ、新しい歌にね!
あたしびっくりして、うれしくて、溢れ出るままにうたったわ、何時間もひとりで...
気持ちよかったぁ...

そんな時に、薮の中から見窄らしいなりをした男が現れたの...

「見窄らしくて悪かったな!」
「つうかさ、おまえ、よっくそんなヘンテコな作り話、すらすら思いつくよなーっ、感心するよ、ほんと」

「だってさ、この店の壁紙って、なんか、そんな感じじゃない?」

「ま、まあ、たしかに水辺の風景ではあるよな...」
「で、何注文する?」

「あ、あたし、塩さば定食!」

「え、食うんかよ?さっきドーナツ3個も食ったじゃん。飲みものだけかと思った...」

「いいじゃない、お話作るとお腹がすくのよ、で、あんたは?」

「ああ、おれはキャラメルマキアートかな...」

「何とぼけたこと言ってんのよ...こんな田舎の年寄り夫婦がやってる定食屋に、そんなものがあるわけないじゃないの」

「あるさあ」

「え?」

「あるさあ、なあばあさん?」

「ええ、あるよー、キャラメルマキアートだろ?」

俺と彼女は、びっくりしたなーっ。
でさ、さらに驚いたことに、よぼよぼじいさんとばあさんが作る塩さば定食もマキアートも、すっごくうまいんよね!

と、いう感じの絵です、今回は。


投稿者 azisaka : 19:28

マンガ傑作選その126

2014年06月18日

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投稿者 azisaka : 06:22

ピー子の歌

2014年06月11日

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畑でトマトちぎってたら、土の上に白くてちっちゃくて丸いもんが転がっていたんよ。
妙なこともあるもんだなあ、こんなとこに卵なんて...って思ったさ。
こちとらはあんたがたも知ってるとおり、しょっちゅう腹をすかせてたもんでよ、鳥かトカゲかなんの卵かわかんなかったけど、卵にゃあ違いない、割ってゴクリ飲んじまおうと思ったのさ。
ところが手にとってみると、なんかさ、さっきまで手でちぎってたトマトと違って、みょうに温かいんよね。
それにちっこいのにずっしり手応えあるしさ。
それで、今思い返しても不思議なんだけど、持って帰って何とかしようと思ったわけさ。
何とかっていうのは、つまり、どんな動物かわかんないけど、とにかく生ませてみようと思ったのさ。
生ませてって、変だよな...何ていうのかな?この場合...
まあ、いいや、とにかく卵を食うのを思いとどまったわけさ。

そいでさ、持って帰って旦那に見せたら、あの方はおれなんかよりずんと学ってもんがおありになるからさ、これは鳥の卵だ、風化、じゃなかった、えっと...そうそう、孵化だ!孵化するには、これこれこうしたほうがいい、って教えてくださったので、その通りにしたわけさ。
まあ、あんまし期待なんてのはしてなかったけど、おどろいたことに数日したら、きしっきしって殻が割れて、ちっちゃな固まりがでてきたわけよ。
それがこのピー子ちゃんってわけさ。
もう、ピー子ちゃんったらかわいいんだから...

旅の人、まだ時間あるかい?
おお、そうか、それならひとつ聞いていきなよ。
おれとピー子の歌を!

と、その男が言って、ぼろぼろのギターひきながら自作の歌をうたったわけなのだが、それがとても心に響いて、私は聞きながら涙してしまった...
その時、たった一度聞いたきりなのに、50年たった今でも、そのメロディも詩も憶えてるよ。

と、言って、おじいちゃんが歌ってくれたのがこの歌よ。

けっこうしんどかったよなあ ピー子
今日はかんかん照りのうえに 風がとっても強かったからなあ
こんな日は 畑仕事はつらいよなあ

けっこう腹立たしかったよなあ ピー子
今日はせっかく植えた苗が みんなカラスにやられちまったからなあ
こんな日は 畑仕事はつらいよなあ

けっこう悲しかったよなあ ピー子
今日は失敗やらかして 旦那にこっぴどくしかられちまったからなあ
こんな日は 畑仕事はつらいよなあ

けっこうそれでも楽しいよなあ ピー子
今日も汗水垂らして働いて へとへとになって 腹がすく
飯も酒もとってもうまい
床についたら夢の中
おれとお前 空の上
眼下には 我らの小さな畑
おれとお前の楽園...

投稿者 azisaka : 21:02

サーカスの娘

2014年06月08日

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親方いきなりいなくなちゃったんで(たぶん前の巡業先で恋仲になった花売の女にそそのかされた)私が団長をやるはめになちゃったんだけどさ、まだ14のあたしなんかにそんな大役つとまるわけないじゃない。
でも、そう何度も言っても、みんな耳を貸さないのよね。
いいやおまえはちっこいけど器がでかい、おれらを統率する力を持ってるって...
あ、みんなっていうわけじゃないや、あたしと同じ日にここにもらわれてきたナターシャだけは反対したわ。
なんでかな?
まあ、いいや。
さて、今日はあたしが団長になってはじめての公演の日なのよ。
あたしは歩き始めたころから親方たちに仕込まれたから、たいていの芸はこなせるの。
けど、いちばん得意なのは空中ブランコとナイフ投げね。
このふたつをいっしょにやるってのが、わたしの芸のクライマックス、言っちゃあなんだけど、この一座の出しもののクライマックスでもあるわ。
どんなのかっていうと、頭上高く吊るされたブランコからブランコへ飛び移るその時に、相方がかかげた的にナイフを命中させるっていうやつよ。
世界は広いけど、できんのはあたしだけ。
ところがさあ、ここ数日、その技がうまく成功しなくなっちゃったのよね。
あたしは団長っていう大役を引受けちゃったわりには体調もいいし、いつも通りやってるはずなんだけど、うまくナイフが的に刺さんないのよ。
一昨日なんか、投げて逸れたナイフが裏方やってたイヴァンの右目に刺さっちゃって、そりゃあ大騒ぎだったわ。
イヴァンは「猛獣使いは片目が似合う」って笑ってたけど、あたし生まれてはじめて落ち込んじゃった...
それで普段はあんまし使わない脳みそ使ってよくよく考えたんだけど、ナイフがうまく刺さんないのはあたしが悪いんじゃなくって、相方、つまりナターシャが悪いんじゃないかって....
彼女がわざと的をずらしてるんじゃないかって...
何でだろう?
ナターシャ、どうしたのかな?

と、心配してるエリアナが今回登場です。


ところで、びっくりだ。
びっくりかつ非常にうれしい。
小川美潮がやってくるからだ。
自分の郷里の行きつけの店にやってくるからだ。
20代の半ばくらいには、ほんとによく彼女のCDを聞いた。
当時はパリに暮らしてて、聞くのはたいていがアフリカやアラブやブラジルなんかの音楽だったけど、その合間、日本語の響きが恋しくなると、聞いた。
聞いて、憩い、まどろんだ、とても心地よかった。
それで、今でもたまにこのCDを聞くと、身体がすーっとパリはベルヴィルの屋根裏部屋に運ばれる。
目には夕日に照らされたサクレクールが映り、耳には階下のポルトガル人のどなり声がこだまし、鼻には中華とインドの料理が混じったような臭いが押し寄せ、肌にはひんやり乾いた風が吹きよせる。

小川美潮ライブ
6月15日の夕方くらいから、
佐世保の「南国食堂地球屋」にて。

小川美潮「窓」


投稿者 azisaka : 20:31

マンガ傑作選その125

2014年06月03日

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投稿者 azisaka : 16:13