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マンガ傑作選その115
2014年01月30日
投稿者 azisaka : 12:19
マンガ傑作選その114
2014年01月25日
「あれってカツラじゃないそうだけど、ほんとう?」
「うん。あたしこの前の慰安旅行のとき見たもん」
「えーっ!」
「いっしょに温泉はいったんだ。髪洗うの手伝ってあげたの」
「とてつもなく長いんでしょうねぇ...」
「そりゃあ長いってもんじゃないわよ。先輩の背丈のゆうに3倍はあったわ」
「ひゃあ、さ、さ、3倍!」
「シャンプーもリンスも一本丸ごとつかったのよー」
「わあ」
「乾かすのなんて、修学旅行に来てた高校生達に手伝ってもらったんだから。脱衣場にさ、羅臼昆布みたいに伸ばして、タオル何枚も使って水気をとって、その後ドライヤー全部使って一斉にゴーッて...」
「ひょわぁ、大変だったのねえ...」
「ところがそれからがまた一苦労...髪を女帝ヘアにまとめるのがそりゃあ大仕事だったわ。女子校生たちじゃあ頼りにならないってんで、仲居さんや近所の奥さん達に来てもらって総出で...」
「わあ...」
「2時間くらいかかっちゃった...」
「そうでしょうねえ...」
「あたしもう、ヘトヘトになっちゃって、そのまま宴会パスして部屋帰ってお布団に倒れ込んじゃったんだ...」
「あー、だから丸尾さんあの時、いなかったんだ...」
「うん。しかもさ、翌日は翌日で、身体のあちこちが筋肉痛で...」
「ほんとに大変だったのねえ...」
「ええ...」
「でもさ...」
「え、何?」
「たしか先輩って独身で一人暮らしでしょ?毎日どうやってんだろう、あの髪型?」
「うん。全部ひとりでやってるんだと思う」
「ぎょえーっ!」
「そこが、女帝の女帝たる所以よ...」
投稿者 azisaka : 19:34
今日の絵、その32
2014年01月22日
「で、これからどうするの?」
「どうするもこうするも、まずはほら、このコートを着なよ」
「いやよ」
「いやだってさっきから言ってるじゃないの...」
「だって、そんな格好じゃ、寒いだろう?」
「だから...何度言ったら気がすむの?」
「あたしは、寒いのがいいのよ」
「寒くしていたいのよ」
「鳥肌たって、ぶるぶる小刻みに震えてるだろ」
「唇なんて血の気がだんだんなくなってきてるじゃないか」
「だって、そうなるの当然でしょ、寒いんだから」
「お、おれなんか、下着3枚重ねの上にセーター2枚着て、その上にダウンをはおって、毛糸のマフラーぐるぐる巻いて、フサフサ耳当てのついた帽子を被ってるんだぜ、それでもけっこう寒いんだぜ」
「あら、そう」
「”あら、そう”、じゃないだろ!?」
「そんな風なおれが寒いんだから、裸の君はもっともっとずううーっと、寒いはずだろう?」
「ええ」
「凍えて死んでしまうぞ」
「ええ」
「凍えて死んでもいいのかい!?」
「いやよ、いやに決まってるじゃない」
「じゃあ、どうして?」
「どうして服を着ない?」
「ふう...もう一度だけ言うわね...これが最後よ...」
「あ・た・し・は・さ・む・く・し・て・い・た・い・の」
「な、なんでだよーっ!?」
「だって、冬だから」
と、いう感じのララさんが今回登場です。
投稿者 azisaka : 22:04
マンガ傑作選その113
2014年01月16日
投稿者 azisaka : 06:53
今日の絵、その31
2014年01月12日
ごくたまに肖像画の注文を受ける。
ありがたいことだ。
そんなときはモデルとなる人の写真を数枚貸してもらう。
できるだけいろんな角度、いろんな表情があると助かる。
それらの写真を並べて見ながら、そこに映し出された個々の風貌をみんな合わせるようにして描いていく。
何も考えずにそうしてしばらく筆を動かす。
数時間、あるいは数日たったらしだいに、それら全部に共通した芯(この漢字、いいですよね)みたいなものが現れてくる。
それがある程度うまくとらえられたのなら、その絵はぼちぼちいい肖像画になる。
投稿者 azisaka : 09:22
マンガ傑作選その112
2014年01月10日
投稿者 azisaka : 08:55
マンガ傑作選その111
2014年01月04日
ここ10年ばかり、年末年始は実家で両親と静かに過ごすことにしている。
(20代に放蕩しまくったことへのつぐないだ)
毎年のことなんだけど、彼らは、紅白だとか箱根駅伝だとかテレビを見たいが、こっちはテレビなど見たくない。
(一般の人にはわかりずらいだろうけど、すごくテレビが苦手だ)
正月は、この正月のため、読みたいのをずっと我慢してとっておいた本を読みたい。
しかし、めったにない親子水入らず...自分ひとりだけ2階にあがって読書するのも無粋なはなしだ。
父母とはできるだけ時間を共有したい。
が、本は読みたい。
正月休みの時間は限られている。
といういうわけで、居間で彼らとテレビを見ながら、本を読む、という厄介な作業を強いられることになる。
(つうか、おまえ自身の人柄が厄介なんやろう...)
「森進一は今年もまた”襟裳岬”ば歌いよらすよー」
「ああ、そうやねえ...でもやっぱりいい歌やねー」
「あーっ、この黒人の人、足ばくじいとらすごたる、棄権さすよ、かわいそかねー」
「ああ、そりゃあ、しんどかねー」
と、こんな感じの会話をしつつ、本を読む。
今回、とびきり面白かった本はというと、夢野久作の「近世快人伝」だ。
博多の葦書房という出版社が20年ほど前、その創立25周年を記念して復刻した非売品だ。
数年前手に入れたんだけど、すぐに読むのもったいないので、ずうっと我慢してとっといた。
まえがきからしてすでに傑作だ...
「筆者の記憶に残っている変った人物を挙げよ...と云う当代一流の尖端雑誌新青年子の注文である。もちろん新青年の事だから、郵便切手に残るやうな英傑の立志談でもあるまいし、神経衰弱式な忠臣孝子の列伝でもあるまいと思って、成る可く若い人達のお手本になりさうにない、処世方針の参考になんか絶対になりっこない奇人快人の露店を披(ひら)くことにした...」
これ読んで、がはははは...と笑ってしまった。
初笑いだ。
この本を読み終わったら、明治の人の気風にもっと触れていたくなり、押し入れの段ボールの中からむかし読んだ森銑三の「明治人物夜話」を引っぱりだしてきた。
読み進めてしばらくすると、正岡子規がその亡くなる前年の正月に病床で詠んだという一句があらわれた。
「大晦日愚なり元旦なほ愚なり」
これ読んで、ガツンと脳天を打たれてしまった。
初ガツンだ。
もうじき死ぬとわかっていながら、なおも成長しよう、その道を極めよう、としてるとこがすごいですよね。
投稿者 azisaka : 22:56